April 2009アーカイブ

キャンペーンキャラクターの不測の事態により、パニック状態に陥った、国家をあげての「地デジ」推進キャンペーン。

今では元となった国民的キャンペーンキャラクターの「不祥事」から3日もたたないうちに代わりの新キャラクター「地デジカ」が発表になった。

発表されるやいなや、インターネット上ではそのゆるキャラすらも超絶した姿を前に、日頃マスメディアをエサに「メディアリテラシー」を趣味で鍛えた人々が、その有り余るクリエイティビティーをぶつけているようだ。

その上、民放連よりもいち早く「チデジカ」ドメインを入手、オフィシャルサイトまで作り上げてしまった。

http://chidejika.jp/

インターネットの中のひとのメディアリテラシーが、マスメディア人のネットリテラシーを上回ってしまった瞬間である。

そのぶつけっぷりは、実際にアクセスしてご確認のほど。

また、集合知のクリエイティビティのカウンターとしまして、ダビング規制にノーをつきつけるリテラシーの高い人々が集う、2ちゃんねるのコミュニティから生まれたコモンズなアナログ放送推進キャラクター「アナロ熊」もごらんください。 http://www12.atpages.jp/analoguma/

      ┼╂┼
    ∩_┃_∩
    | ノ      ヽ
   /  ●   ● |
   |    ( _●_)  ミ    
  彡、   |∪|  、`\
  / __ ヽノ /´,>  )
 (___)   / (_/
  |       /
  |  /\ \    アナロ熊
  | /    )  )
  ∪    (  \
        \_)

 

 

文・写真 = 岡田 智博 yokohama@creativecluster.jp


世紀を跨ぐサイネージ

今、私は上海の外灘のビルの上から黄浦江を眺めている。

外灘は「バンド」という名前でよばれ、私の師である建築史家の藤原惠洋の名を若き日に広めた書「上海―疾走する近代都市」(1988) によると、西洋列強の中国大陸進出の足場として、黄浦江沿岸にそれぞれの国や資本の拠点たるビル群を並びたてた、まさに本国と直結した植民地支配のためのハブの機能を果たしたストリートである。19世紀から戦前にかけて、各国から乗り込んできたエクスプローラーたちにとってその水際に聳え立つビルディング群の威容は、高揚感と安心感をもたらしてきたに違いない。そして、この地にある中国人にとっては、圧倒たる存在感がのしかかる一方で、世界の最先端を空気として触れる、まさに建築がもたらすサイネージ空間であったのだ。

その外灘から黄浦江の向こうにある浦東地区を眺める。昔は「浦西(上海の市街地部)のベッド一つの方が、浦東の一部屋よりまし」とまでよばれ、田園地帯が広がっていた一帯。河から見上げるかのような外灘の威容の一方で彼方の地であった浦東。そこには「上海森ビル」「上海ヒルズ」などと囃されるドバイがもたもたしているので未だ世界一の高さを誇るビルを筆頭に聳え立つ、21世紀の富の威容が建ち並んでいる。黄浦江に面した、CITIBANKの拠点ビルの一面は全てがスクリーンで彩られ、巨大な映像を外灘に向けて表示し続けている。その隣にあるビルもまた壁面がディスプレイに。世界金融危機による広告量の低下なのか、公告少々、それに来年開催の上海万博のスローガン、デモ映像の組み合わせ。黄浦江の上には巨大なLEDモニタを浮かべたサイネージ船が行き交っている。
植民地都市時代、上海に訪れるゲートウェーとしての河からの外灘の威容は、今や外灘から未来を投射する浦東のディスプレイ化へと変革を遂げている。

今まで、日本の都市の景観はネオンや公告に覆われていて、欧州の都市や上海のように景観が保たれてない、下品なものであると、日本人の「識者」といわれる人々の声として、多くいわれ続け、現在、極めて厳しい屋外景観への配慮が多くの場合、求められるようになり、そのことがサイネージを日本の街に取り入れることをときに難しくしている。その一方で、景観にうるさいとされている、海外のほうが積極的にサイネージを取り入れている皮肉。こうでなければならないという原理原則やそれに外れるとすぐいちゃもんをつけたがる日本と異なり、いいものをどんどん取り入れることでバージョンアップを果たして行こうとする世界の大都市たちの進化のひとつの対比が、上海の黄浦江を挟む世紀を跨いだ姿ということができるだろう。

今、私が河を挟んで浦東の巨大なサイネージを眺めているのは、バンドにそそり建つ1916年に建てられたネオゴシック様式のビルをマイケル・グレイブスがリノベーションした、スーパーブランドのみを集結させた空間のトップにあるバーのデッキ。まさに都市のバージョンアップの劇場を目の当たりにしているということだろう。

でも上海でもデジタルサイネージには何かが足りない

上海は「創意都市」というキーワードの中、クリエイティブ産業をビジネスの中心に置こうと街をあげて邁進している。デジタルサイネージはそのビジネスにとってのキーの存在、地下鉄の駅や車両の中には広告を目的としたビジョンが設置され、多くのタクシーの中にはタッチパネル式の公告ディスプレイが埋め込まれている。タクシーでの移動の中、いきなり原宿のH&Mのギャルソンとのコラボレーションで沸く映像が目に飛び込む。セレブのシーンを追っかけるというタイアップ公告だ。
浦東のビルの壁面が、地下鉄が、そしてタクシーに、デジタルサイネージが溢れている上海。しかし、世界の何処でもがそうであるように、何かが足りないのだ。

ここでも足りないのはクリエイティブ力

上海市政府と地元共産党の文化・メディア行政の支援のもと、一昨年より巨大なメディアアートのフェスティバルeArtsが毎年開催されている。eArtsは、メディアアートを上海に広げることで、メディアアートから生まれる可能性を軸にメディア文化とビジネスを発展させようとしているフェスティバルだ。
「私たちはメディアアートで稼がなければならない」eArtsの企画広報の担当者はこう語りかける。助成金で祭りをすればいいということではなく、そもそも上海の文化と産業の可能性として、メディアアートの可能性に賭けたのだから、祭りを糸口に産業を創出して、そのことでアーティストを上海で活動することで潤し、文化を高め、助成金すら要らないようにしなければならないのだ。

彼らによるとデジタルサイネージとこれらチャレンジに富んだメディアアートによるクリエイティブの接点は今の上海には存在しないという。流す映像が求められても、そのサイネージの魅力を高めるためにクリエイティブが挑戦する企画は想像できなかったという。

デジタルサイネージという都市の中に存在する、柔軟なメディアだから出来る可能性。

その可能性をかたちにすることで、よりデジタルサイネージをOOHの主役へと具体的にまつりあげる、企画者の存在、プロデューサーの存在は、まさにこの上海にも存在していなかったのである。

この企画者やプロデューサーの存在の欠落が、世界中のデジタルサイネージの本当の意味での活きた普及を遅らせているように思えてならない。その世界中とは日本を含めてのこと。この一年にわかり、クリエイティブの可能性からデジタルサイネージの可能性を語ってきたが、ビジョンが増え続ける一方で、その価値を高めるクリエイティブな歩みは残念ながら遅々として進まないのだ。

大阪からはじまるメディアアートによる都市の中のコミュニケーション

とはいえつまらないと悲観しているばかりではいけない。

最後にその中でも生まれる新たな可能性の萌芽を示しておこう。

日本最大規模の再開発として進行中の大阪駅北口開発。その中において準キー局である関西テレビが中心となってサイバーアートのミュージアムとプロダクションセンターが準備されている。この準備の流れの中、大阪そして関西にメディアアートによるハプニングやサイネージをクライアントと人々とのコミュニケーション手段として広げようとする動きが始まった。

「不況だからこそ、地方のメディア業界が特に厳しいからこそ、クリエイティブに考えて、大阪でうける新たなメディアを開発しなければならない。それが都市の中のメディア、メディアアートなのだ」と担当プロデューサーが語るその企画の第一弾が、なんばの巨大なショッピングセンターでバレンタインデーの期間に開催された。

「レーザータグ」という米国のメディアアート集団が開発した、屋外に巨大なメッセージを書き込めるシステムを用いて、カップルたちが愛のメッセージをショッピングセンターの壁面に描き込んだのである。メディアアートで大阪を盛り上げたい、そのためにこれから国内外のメディアアーティストをフィーチャーして、様々なハプニングやコミュニケーションを関西で起こしてゆく。クリエイティブが持つパワーは、今までのメディアにおけるビジネスではない効果をもたらし、クライアントである最大手携帯キャリアにとっても満足行く、そしてこれからも継続してゆきたいという結果をもたらしてくれた。

これから大阪を中心に関西でメディアアートをベースとしたコミュニケーションが都市の中に増えてゆくだろう。そして、そのことで大阪がメディアアートでおもしろい街だという声が全国にそして世界に広がってゆくことが容易に想像できることである。

メディアアートと都市の中のコミュニケーションが街をおもしろくする。

そんな当たり前のことがデジタルサイネージのビジネスをクリエイティブに加速化させるのは、もしかしたら遠くない将来なのかもしれない。

チームラボの猪子社長より、新たな発明の声明文が届きましたのでお知らせします:

チームラボ猪子です!

この度、チームラボにて、スタートしたプロジェクトを紹介させてください。


チームラボは、ユーザーインターフェイスの新しい形を提案します。


その名は、SKETCH PISTON(スケッチピストン)!
(sketch piston1 [idu+plus])http://www.iduplus.jp/
(プロモーションサイト)http://www.team-lab.com/sketchpiston/sketchpiston1/ 


SKETCH PISTONは、それ自体が、サイトでもあり、ユーザーインターフェイスでもあります。
SKETCH PISTONは、サイト上のゲームコンテンツではなく、ユーザーインターフェイスと
ゲームが融合した「コンテンツインターフェイス」というユーザーインターフェイスの新しい形であり、
いろんな企業のコーポレイトサイトや商品のプロモーションサイトの一部として発表していきながら、
シリーズ化していきます。

「SKETCH PISTON」は、不思議な魔法のペンとスタンプを使って、世界に、
自由に落書きをする「スケッチアクション」という新しいジャンルのゲームです。
ペンやスタンプの種類によって、世界に様々な力を与えることができます。

すごく当たり前のことなのですが、世界には、目的もなければ、ゴールもありません。

全ては、あなたの創造性とイタズラ心によって、世界をペンとスタンプで、
落書きしていってください。

----------------------------

そして、僕らは、世界スケッチピストン化宣言します!

スケッチピストンプロジェクトは、世界の全てのWebに落書きができるようになることを
目指します。


----------------------------

その、世界スケッチピストン化計画とは、

スケッチピストンは、発展途上です。魔法のペンもスタンプも、種類が足りません。
次回のスケッチピストンのキャンバスになるWebも必要です。
多くの協力者の力によって、様々なバージョンアップをして発展していきます。
もし、あなたが、クライアントのために、何かのプロモーションのアイデアを練っていたら、
プロモーションサイトは、スケッチピストン化しましょう。
スケッチピストンプロジェクトに相談して頂ければ、あなたと一緒に必死で考えます。


まずは、
そんなSKETCH PISTON第一弾:SKETCH PISTON1(idu+plus)を体験してみてください。
http://www.iduplus.jp/   

プロモーションサイト:http://www.team-lab.com/sketchpiston/sketchpiston1/


皆さんの、プレイを、キャプチャーして送っていただけると、うれしいです!


TEAM☆LAB 代表 猪子寿之


--------------------------------------------------------------------------------
■(第一弾)SKETCH PISTON1について

「(第一弾)SKETCH PISTON1」では、ジャパニーズビジネスマン君が、わんさか沸いてきます。
好きなように落書きして、ステキな「都市開発」を行ってください。

SKETCH PISTON1は、不動産開発事業・オペレーション事業を展開する
「株式会社アイディーユープラス」様のご協力を得て、
アイディーユープラスのコーポレイトサイトとして、09年3月13日にオープンしました。
http://www.iduplus.jp/
--------------------------------------------------------------------------------

チームラボ株式会社
http://www.team-lab.com/

Profile of Director : OKADA Tomohiro

okada_tomohiro.jpg

OKADA Tomohiro

岡田 智博

 

OKADA Tomohiro (Japanese), was born in 1971 in Matsumoto, JAPAN.

 

He is Ph.D. Candidate at Tokyo University of Arts (東京藝術大学) in Arts Policy, graduated from The University of Tokyo(東京大学) with M.A. in information studies, and Kyushu Institute of Design with M.S. in visual art and design studies, and has been the director of non profit new media culture and social development nation wide initiative, the Creative Cluster, NPO, of Japan, also the director of culture and ICT policy and planning consultancy company, Cool States Communications Laboratories of Tokyo.
He is also teaching Creative Economics and Creative and Art Management at Center of Creative City at Osaka City University (大阪市立大学) as a researcher,  Komazawa University and Atomi University (Tokyo) as a lecturer.

 

He has been interested in social innovation as a result of cultures using communication technology and new media.

He has worked on pre-production investigations and project start-up activities and curating and developing new media art and design field in Japan such as Japan Media Arts Festival (Agency of Cultural Affair), Yokohama City Art Network, DiVA (Digital and interactive/information Visual Art Research Completion and Exhibition), Global Media -OTAKU- (Tokyo Metropolitan Museum of Photograph), Electrical Fantasista, Evolution Cafe and Y Innovation (Ministry of Economics and Trade and Industry and Yokohama City Government), Creative Cafe OSAKA (Osaka City Government), Digital Art Festival Tokyo (NHK 日本放送協会), Ars Electronica in Japan, and evaluating and advising of creative economy and social development policy for local governments in nation wide Japan (Osaka, Nagoya, Sendai, Shibuya, Yamaguchi, etc...) and has written and edited for international publications in the fields of new media culture and art and design.

 

Contact: CreativeCluster PR Section
e-mail: info@creativecluster.jp
Web Site:
http://creativecluster.jp/

岡田 智博

okada_tomohiro.jpg

おかだともひろ NPOクリエイティブクラスター理事長
有限会社クールステーツ・コミュニケーションズ研究所代表取締役
大阪市立大学都市研究プラザ研究員(創造産業)、駒澤大学講師(コンテンツデザイン論)/跡見女子大学講師(メディア芸術/コンテンツ産業論)
社会構想家・キュレーター・ジャーナリスト・プロデューサー=先端社会経済・デザイン・美術領域

信州松本出身、奈良を経て人生の前半は多摩育ち。
ニューヨーク大学大学院School Of Education を経て、九州芸術工科大学大学院および東京大学大学院学際情報学府を修了、現在、事業の傍ら東京藝術大学大学院博士後期課程(芸術環境創造)にてポスト創造都市論としての先駆的芸術活動によるソーシャルイノベーションの効果をテーマにグローバルな視野で研究中。
マルチメディアアライアンス福岡、横浜知財・ITクラスター、キヤノン・デジタル・クリエーターズ・コンテストなど、地方から国家プロジェクトまでマルチメディア・コンテンツに関するクリエイティビティー向上と普及のための事業の立ち上げとともに、芸術・文化・デザインによる先端領域の普及と産業化のためのソーシャルイノベーション活動に執り組んでいる。
キュレーター&アートプロデューサーとしては、若手メディアアーティスト/デザイナーを一歩先のライフスタイルを模した空間構成によりイノベーティブな展覧会シリーズ「ファンタジスタ」シリーズにより、新たなアートシーンを日本から発信し続けていることで知られている。「ファンタジスタシリーズ」は、08年の期間中において横浜市の創造拠点ZAIMにおける外部有料プロデュース展における最大動員数と、東京アートビート誌における「行ってみたい展覧会」のトップを記録している。
自身が理事長を務め全国規模の拠点を持つ、NPOクリエイティブクラスターのプロジェクトは、IT時代の社会とライフスタイルの可能性を先端知とクリエイティビティーによって回路を開き、現物化する21世紀における文化芸術による社会や産業への貢献モデルとして国内外で注目をされている。

ホームページ:
クリエイティブクラスター http://creativecluster.jp/
クールステーツ・コミュニケーションズ http://coolstates.com/

In English Language News and Contents is here

Creative Cluster 2011-2010 Topics


府中市美術館公開制作「ハイブリッドアートラボ」に企画協力(9/17-11/22)
NEXT MEDIA ART EXPO - クリエイティブファンタジスタ2011 東京原宿にて主催(文化庁メディア芸術人材育成支援事業/東京都文化発信支援事業)
東京深川から「誰もがあたらしいことをはじめられるソーシャルプラットフォーム」 DET - Deep East Tokyo のファシリテーションを支援
文化庁メディア芸術祭札幌巡回展(主催:同巡回展実行員会=札幌芸術の森美術館+札幌メディアアート・フォーラム)のキュレーティングに協力(2010 10/23-11/3)

E-mail Contact to Creative Cluster,NPO

特定非営利活動法人クリエイティブクラスターへのコンタクトは電子メールでどうぞ
info@creativecluster.jp English / Japanese available

Categories

Get our Creative Cluster Annual | click here


このアーカイブについて

このページには、April 2009に書かれた記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブはMarch 2009です。

次のアーカイブはMay 2009です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

September 2011

        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  


Locations of visitors to this page